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読者の皆様へ感謝を込めて 『メンズファッション誌SENSE(センス)』創刊22年の歴史を振り返る。

2022.07.29

読者の皆様へ感謝を込めて 『メンズファッション誌SENSE(センス)』創刊22年の歴史を振り返る。

わずか27歳の若者が生み出した「センス」はどのような経緯を経て、メンズファッション誌界で確固たる地位を築き上げたのか。編集長としてはもとより、出版界の異端児として経営者としても知られた守谷聡。出版を“読者へのサービス業”として捉え、唯一無二の存在となった軌跡を振り返る。

photography by TOYOAKI MASUDA text by SHUNSUKE HIROTA

「世界中の情報が見られるカルチャー誌を作りたいと思ったのが、創刊のきっかけ」

SENSEの歴史は常に挑戦の連続であった。出版界の常識では考えられないほど非常識を貫いてきた軌跡は、いち男性ファッション誌の枠を超えたファッションエンターテインメント企業の歴史とも言える。そのSENSEが誕生したのは21世紀を目前に控えた2000年のこと。宝島社を退社した守谷が、理想のメンズ誌を作るべく独立したのは27歳の時。自宅の5畳ワンルームを編集部代わりに使い、たった独りで始めた小さなスタートであった。しかしながらその創刊号では、大胆にものっけから海外取材に踏み切りNYを特集。しかも巻頭が藤原ヒロシ、中ページに野口強、熊谷隆志という、現ファッションシーンの大御所たちが揃う錚々たる顔ぶれだった。「当時はスマホも無いどころかネットも今みたいに普及していなくて、仕事のやり取りは固定電話かFAXでやっていた時代。当然ながら、日本でチェックできる海外の情報はかなり限られていました。そこで自分が憧れていたアメリカなど、世界中の情報が見られるカルチャー誌を作りたいと思ったのが、SENSEを立ち上げたきっかけです」(談・守谷。以下同)。

そして創刊から数えること第3号では、なんとヴィンセント・ギャロを。さらにはレニー・クラヴィッツといった海外のセレブリティまでをインタビュー&撮り下ろしで取材するなど、立ち上がったばかりの雑誌とは思えない圧倒的な取材力を発揮する。それらはいずれも、守谷の雑誌作りに対する情熱が彼らに伝わった証であり、どうやって“不可能を可能にするか”を常に実践してきた不屈の編集者魂を表わしていると言えよう。こう書けば容た やす易い出来事のように思われるが、まだ20代の若輩者の編集者が海外セレブへの取材を実現させたことはもとより、特殊な慣行を有する出版業界で、新しく雑誌社を立ち上げるのは並大抵のことではない。それもお金がかかるファッション誌の会社である。また、各大手の広告代理店や印刷所、ましてや出版取次(本を全国の書店やコンビニに流通させる会社)と口座開設をするのは今でもそう簡単ではなく、当時は不可能に近かった。仮に口座開設が出来たとしても、新参者には超が付くほどの厳しすぎる不利な取引条件しかなく、キャッシュフローが回らないことは明白であった。

メンズファッション誌SENSE(センス)

そんな封建的な業界の中で認められ全国の書店やコンビニに並べるには、定期刊行できるだけの経営体力を示し、そして何よりも実績を出す以外にない。シンプルに言えば、歴史ある雑誌よりも売れる雑誌を作るしかないのである。そのため守谷は売れ行きを敏感に意識しながら、第5号で人気ストリートブランドたちのロゴを表紙にズラリと並べた企画を展開。続いて高橋盾×綾小路翔の3万字対談の03年10月号など、伝説的な特集を次々と発表し実績を積み上げていった。SENSEならではのオリジナリティある企画は口コミ的に読者に広がり、遂に06年2月号では念願の月刊化を果たすことになる。さらに同年8月号では“クリーンな黒”特集で大ヒットを記録し、現在のSENSE=黒のイメージにつながる路線を確立した。今から16年程も前の事である。

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