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CULTURE

My Legends by 幹田卓司 vol.147

My Legends

2022.01.31

My Legends by 幹田卓司 vol.147

多くの友人・知人や常連客に、店を始めた91年から欠かさずオリジナルの年賀状を送っているという幹田。毎年ウルフズヘッドから届く年賀状は正月の楽しみのひとつであり、もらった人の多くは歴代の葉書を大切に保存している。

photography by FUMIHITO ISHII edit by SHUNSUKE HIROTA

New Year’s Card 2 毎年お正月の楽しみはポストに届くアートピース

「アイコンであるイエローステッチやヒールループとの相性を考えてブラス製ゴールドスタッズを選び多くの友人・知人や常連客に、店を始めた91年から欠かさずオリジナルの年賀状を送っているという幹田。毎年ウルフズヘッドから届く年賀状は正月の楽しみのひとつであり、もらった人の多くは歴代の葉書を大切に保存している。「自分は正月にメールもしないし、マメに挨拶をするほうではないから、せめて年の初めの年賀状ぐらいはきちんと送るように心がけています。イラストは毎年の干支をモチーフにイメージを膨らませながら描き上げるのですが、絵を描くのが好きなこともあって自然と自分なりに思いの入った年賀状に仕上がります」。

スライド1枚目が2022年度版の年賀状。前年の干支である牛が今年の干支の寅に食べられて骨になっていたり、寅の頭をぶら下げている鎖をよく見ると2022の文字が隠れていたりと、判じ絵のようなウィットが盛り込まれているのも幹田らしい。2019年に描いた鼠年の年賀状は「来年、オリンピックがある気がしないんだよな」と思って蛇に丸飲みされた鼠が舌で破られた日本国旗の髑髏杖を持っているイラストになったが、その後、実際に延期になったというエピソードも。さて、今年はどんな年になるのか。

実際に手に取ってみると、もちろん独創的なイラストも魅力的だが、それと同じく手描きと見まごうばかりの味わいがある印刷にも驚かされる。そのやり方を聞くと、画用紙に幹田がモノクロで描き、それをスタッフがパソコンに取り込んだ上でふたたび出力したものを幹田が着色。モノクロと着彩ををパソコン上で重ね合わせて写真家などが使う10色インクのプリンターで印刷するという、非常に手間のかかる方法を取っている。

「以前はプリントゴッコを使ってシルクスクリーンで一枚ずつ何版も色を重ねて印刷していたのですが、専用インクや版が廃盤になってしまったので、仕方なく手法を変えました。今回紹介している年賀状のなかで金や銀のインクを使ったものは、プリントゴッコで印刷していた時代のものですね。また、90年代後半からはスタッズを施すようになり、裸のままでは送れないので専用の封筒に入れて投函しています」

イラストのキーになる場所に施されたスタッズは、まさに画竜点睛。単なる時候の挨拶状というよりも、額に入れて飾りたくなるのも頷ける出来栄えなのだ。