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男のリーダーシップ 第104回 このひと言で自信がついた。「守谷君に早く会いたかったんだ!」

男のリーダーシップ

2022.04.06

男のリーダーシップ 第104回 このひと言で自信がついた。「守谷君に早く会いたかったんだ!」

人材育成コンサルタント、守谷雄司氏による熱血マネジメント講座。今回のテーマは、「愛ある言葉が人の心に希望の光を灯す」です。先輩社員が新入社員に最初にかけるひと言は、後輩の人生に自信と勇気を与えるものです。言葉ひとつで、人を楽しませることも喜ばせることもできるのです。

direction & text by YUJI MORIYA illustration by CHINO A

「あ、君が守谷さんね。早く会いたいと思っていたんだ」。田中先輩は、こう言って私の肩をポンと叩き、手をギュッと握りしめてくれた。あの時の名前を呼ばれた時の嬉しさと先輩の手のぬくもりは、今でも忘れられない。私の劣等感は、あの先輩のひと言によって救われたといってよい。電機会社に就職が決まるまで、6つも就職試験を受けていたが(放送会社、出版社、新聞社、さらに映画会社)、どれもこれも不合格という惨憺たるものだった(人が足りない時代であったにもかかわらず)。

そんなわけで、入社したときも劣等感のかたまりであった。当時、この会社は大蔵省に対して土地所有の申請をしている時期であり、義兄が時の大蔵省のK財務局に勤務していたということもあり、その筋の名刺!? の強力なコネに物を言わせて、なんとか入社に漕ぎつけたという状態であった。

会社の門に立ってみて、ますます驚いた。なにしろ、36万㎡という広大な敷地を縦横に使っていた飛行場であり、毎日5万人近くの従業員が長蛇の列をつらね、前へ進むにも容易ではない状態だったという。戦後は、朝鮮動乱の米軍の負傷兵の病院になった。だから敷地の広さは相当なものだ(甲子園球場が60個すっぽりおさまってしまう)。会社の屋上からは、赤城山、榛名山、妙義山といった上毛三山が、なだらかな傾斜の中にくっきりとした雄姿を見せていた。

入社式が終わって、いよいよ社会人としての第一歩のスタートを切る教育訓練の開始だ。入れ代わり立ち代わり、若い人、年配の人、中堅クラスの人が“君らに期待するガンバレ”と、どれもこれも顔面を紅潮させて、力いっぱい握りこぶしを振って熱演してくださる。

講義を聞いていて、もうひとつ頭から離れないことがあった。自分の同類項が、この中にどのくらいいるかということについてだ。同期生96名は、新調の背広に身を包み、頭も今日ばかりはきれいに刈り上げている。眼鏡をかけて、講師の話をうん、うんとかなんとかうなずいて聞いている同僚を見ると、私より優秀な人間に思えてならない。そんなことをアレコレと考え、雑念に取りつかれていた。

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