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第三十三回 鳩山会談 GUEST 矢嶋孝行さん

鳩山会談

2022.01.31

第三十三回 鳩山会談 GUEST 矢嶋孝行さん

今回のゲストは、きものの「やまと」の代表取締役社長である矢嶋孝行さん。実業団の自転車選手、消防士、ホテルでの勤務を経て、30歳で日本最大規模のきもの会社であるやまとに入社。2019年に4代目の社長に就任し、日々きものの可能性を広げようと奮闘している若社長です。日常的にきものを着ることはないという鳩山さんですが、話が進むにつれてきものへの興味が増していった様子。最終的には日本に戻った時にきものを見立ててもらう約束にまで取り付けたのでした。産地の企業を含めた “新民藝運動”のお話は必読です。

edit & text by KAIJIRO MASUDA
illustration by CHINO A

GUEST 矢嶋孝行さん

GUEST 矢嶋孝行さん

1982年、東京都生まれ。2003年に東京消防庁入社。消防士として活躍する。2009年にザ・テラスホテルズに入社。2013年にやまとに入社し、取締役に就任。事業創造本部長として「Y. & SONS」や「THE YARD」など新業態のディレクション、「KIMONO by NADESHIKO」のリブランディングなどを手掛ける。2019年4月に代表取締役社長に就任。葉山在住。


鳩山
矢嶋さんは文京区出身ですよね。僕も文京区育ちなので、親近感があります。

矢嶋
私は文京区白山です。子供の頃は小石川植物園が好きでした。

鳩山
僕も良く行きました! 矢嶋さんはやまとの4代目なわけですが、すんなり後を継がれたのではないとお聞きしています。これまでのキャリアを教えていただけますか?

矢嶋
最初は自転車の実業団の選手だったんです。

鳩山
えぇー!

矢嶋
高校で国体に出て、大学で自転車をやるか実業団に入るかって話になって……。子供の頃に父と母が離婚して、私は母と暮らしていたので、大学の学費を父に頼るのが嫌で、実業団を選択しました。でもプロの道は厳しくて、すぐにオリンピックに行くのは無理だと分かってしまったんですね。大怪我をした時にアメリカ同時多発テロがあって、自分は何をやるべきか真剣に考えました。

鳩山
なるほど。

矢嶋
それで、目指そうと思ったのが消防士でした。体力には自信がありましたし、人の役に立てるのではないかと。それから初めてと言っていいくらい猛勉強して、2003年に東京消防庁に入社しました。

鳩山
すごいバイタリティです。

矢嶋
でもすぐに壁にぶち当たりました。医学部に通っていた姉との会話で、消防士は災害現場で救助することはできても医療行為はできないんだよね、という話になって。確かに救助隊が医療の知識を持っていた方がいいと思って、勉強して特別救助隊と救急の資格も取ったんです。でも、オレンジ服の特別救助隊はとてもプライドが高くて、生意気だ!と疎まれたんですよね。何人かの先輩は共感してくれましたが、自分ひとりで変えられることではなく、公務員の限界を感じたんです。

鳩山
ドラマになりそうなお話です。

矢嶋
それでもう一度自分のできることを考えようと思い、25歳の時に放浪の旅に出ることにしました。

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